民族音楽クリンタン
フィリピンの民族音楽クリンタン。クリンタンは音楽と踊りが一体となったものです。スペイン時代以前から有りましたが、スペインがキリスト教化を進めていく過程の中で、土着の音楽や踊りを根絶しようとしました。そこを守り抜いたのが、ルソン島の山地民族と、ミンダナオのイスラム系民族です。今でもミンダナオのイスラム系民族のクリンタンには、音楽形態、表現方法、衣装にイスラムに対しての偏見が入って、スペインからの抑圧の跡なのだそうです。クリンタンはスペイン時代を生きぬいた文化の代表格。ですから、私はクリンタンはミンダナオの宝だと考えているのです。
そのクリンタンは国立民族学博物館のホームページから聞けます。
山地民族で宗教がカトリックの民族(ジェンサンの近くのビラアン民族)にもクリンタンがありました。イスラムの民族から最近伝わったもののようです。最近といっても10年20年前というものではありません。
1900年代の後半に、ミンダナオの人たちがアメリカに移住し、カリフォルニアを中心に音楽活動をして、高く評価されたのが、世界がクリンタンを知るきっかけになりました。
ディアス村のクリンタン
06年9月にミンダナオに行ったときに、イスラム系民族とビラアン民族のクリンタンを聞きました。イスラム系民族はジェネラルサントスの近くにある、トゥヤンバランガイのディアス村と、丁度ポロモロックで山地民族のビラアン民族のお祭りをしていましたので、2つのクリンタンを聞けました。みんぱくで聞けるのと、ディアス村と、ビラアン民族の音楽は、3つとも違います。
フィリピンの文化は、カトリック文化圏、イスラム文化圏、山地民族文化圏の3つがあります。
ディアス村には、マギンダナオ、スールー、サギン等複数の民族が住んでいます。村に到着したときは、音楽で出迎えてくださいました。旋律を担当するゴング、低音の大きなゴング。リズムを刻む打楽器は、バチは竹を細長く裂いたもので、太鼓の代わりはゴムで出来たようなバケツを横にしたものでした。なんでも楽器になるのです。
音楽はとても早くて、目で追っていくのがやっとで、規則性などは分りませんでした。クリンタンを聞きたいと願い準備を始めてから1年半。素晴らしい民族音楽が聴けて感動しました。
昼食後に村の集会場に楽器を運んで、踊りを見せてくださいました。それぞれの民族の踊りです。
ビラアン民族のクリンタン
ジェネラルサントスの近くのポロモロックのバスターミナル近くの広場で、ビラアン民族のお祭りがありましたので、行ってきました。直前に日程の変更になった為に、メインイベントが見れるはずだったのですが、見れませんでした。沢山の高床式の小屋を建ててそれぞれでは、いろいろな物が売っていました。織物の説明をしているところにゴングがあり、その場にいた人たちが民族衣装に着替えて、演奏と踊りを披露してくださいました。
私がゴングだと言って喜んでいたら、ビラアンの人が「クリンタン」と言い直していました。
Aの音を中心に隣の音3つで演奏⇒イ、ロ、ハの音を短く演奏⇒Bの音を中心に隣の音3つで演奏⇒全体の音を使って短く演奏⇒始めに戻る。
この繰り返しなので、単純なのですが、それがとても素晴らしいのです。
弦が2本の弦楽器です。演奏している最中に弦が1本切れました。
大きいゴング。低音を担当します。
打楽器。ワニの形をしています。織物の模様にもワニがあります。昔ここら辺にワニが住んでいたそうです。上から棒でつつくようにしてリズムを刻みます。
ミンダナオにあったゴングは、中央に突起が付いていて、ここを叩いて音を出します。ゴングは大別して2種類あり、この突起の付いている物と、付いていない物です。この2種類のゴングを使って演奏している所は、ベトナム、ラオス、カンボジアの山の方にいる民族だそうです。
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参考ホームページ&図書
「国立民族学博物館」HP
月刊「みんぱく」2006.10
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