THE COMING WAR WITH JAPAN
ジョージ・フリードマン/メレデェス・ルバード共著
小室直樹 監修
古賀林幸 翻訳
徳間書店 刊
1991年
この本は膨大な資料から日米関係を検証していき、第二次世界大戦はなぜ起きたのか。日米双方の基本戦略は変わらないのだから、今後とも日米間の戦争が起きる。それを回避する方法が書いていないと言うとんでもない本です。
見方を変えればとても面白いのです。
第二次世界大戦は日米間の戦争。アメリカが勝ち、日本は負けました。日本は占領され、今の日本国憲法がアメリカ主導で出来ました。少なくとも今後100年は日本は戦争が出来ないように。
戦争に負けた日本は壊滅状態。そこから息を吹き返したのは「朝鮮特需」。この時以来、アメリカは何処かで戦争をしている(米ソ冷戦を戦っている)間に、日本は稼ぎまくって経済大国になりました。しかも、アメリカが作ったシーレーンを活用して。アメリカはイライラしてきました。
アメリカは負担が大きくなってきたので、日本に参戦を促しても平和憲法があるので、肩代わりが出来ません。アメリカのイライラは募ります。せめて軍備を増強して頂戴よとの要求に日本は自衛隊の質を高めてきました。これが今後のアメリカに恐怖心を呼び起こすと言うのです。アメリカ主導で作った平和憲法のために、アメリカはイライラしているのです。日本は侵略をしていった国から資源を輸入し、人手不足の活路を見出そうとしています。
先の見通しを立てるのは難しいと思いました。
戦争が起きるのは、自国の利益追求ではなく、恐怖心だって。恐怖心を取り除くのは主張をし続けることなのだそうです。
今度戦争が起きて日本が負けたら、アメリカは日本が再び復興できないようにするでしょう。何処の国か忘れましたが、アメリカは他国の内戦を引き起こして復興できないようにした事があるそうです。
開戦の決断をするのは難しく、それよりも難しいのは事前に戦略を立てること。これらよりもっと難しいのは戦争回避をすることだそうです。
一番難しい戦争回避はし続けなければなりません。
平和憲法が出来た根拠は、日本人にある敗戦の責任と劣等感。でも今は戦争体験者が少なくなり、責任感と劣等感がなくなり、その代わり高度成長を遂げた事に誇りを感じている。だから、平和憲法の根拠を日本人は失ったと、著者は言います。
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