マギンダナオ州統一選挙前の事件
マギンダナオ州副町長の妻が選挙に立候補の届出をしに行った時、同行した副町長の親戚、報道関係者らが拉致され57人を殺害された事件が11月23日に起きた。
26日、政府当局は殺害を指示したとされる、ダトゥウンサイ町のアンダル・アンパトゥアン町長を拘束。私兵団の武装解除にも着手。
12月1日 私兵団に57人殺害を提示したとしてアンパトゥアン町長を殺人罪で起訴。
3日 イスラム教徒自治区(ARMM)のルディ・アンパトゥアン知事、非常事態宣言と内務自治長官への定職権限付与は違憲として最高裁に提訴。
4日 マギンダナオ州一部の地域に戒厳令布告。
5日 戒厳令布告を受け、同州に国軍部隊を増派。アンダル・アンパトゥアン前知事とサルディ・アンパトゥアンARMM知事らを拘束。
7日 サフロンガ元下院議長らが戒厳令と人身保護礼状請求権停止措置の無効化を求め、最高裁に提訴。
9日 上・下両院合同議会が、戒厳令と人身保護礼状請求権停止措置の執行可否審議を開始。法務省検察局、マギンダナオ州前知事ら24人を反乱罪で起訴。
12日 政府、戒厳令と人身保護礼状請求権停止措置を解除。違憲性がある裁判の敗訴を避けるためとの見方がある。
14日 元上院議長ら、重大な憲法違反だとし、大統領権限の乱用を避けるためにも戒厳令裁判の審理継続と判決言い渡しを最高裁に呼びかける。
アンパトゥアン知事ら5人は、ジェネラルサントスの国家警察施設に収容されている。警官10人が24時間体勢で警備をし、監房は50平方メートルほどの広さで、来客用のいす、有線放送が入るテレビ、扇風機などがある。携帯電話の使用は禁止。
<民間人志願組織(CVO)>
アンパトゥアン知事は、イスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)の恐喝や嫌がらせから守る為に、内務省の了承の下、地方自治体向けの交付金(年間約30億ペソ)を使って武器の調達にあてていた。
マギンダナオ州内で活動したCVOは総勢2300人。武器を手にするCVO構成員は、国家警察による訓練やセミナーを約一ヶ月間受け、CVOの活動に参加する。軍・警察がMILF掃討作戦を実施する際は、周辺の地理に詳しいCVOが作戦に加わり、軍・警察の先兵としてMILFと戦ってきた。
CVOの構成員24人が、国軍などの呼びかけに対して10日に一斉投降し収容された。
家族を養うのに充分な収入を得れる仕事がなく、CVOに志願したと異口同音に語っている。イスラム急進派、MILFと対峙し、最前線で武器を取るなどして、月給3500ペソを得る為に命がけの戦いを余儀なくされている(農民の収入は月約500ペソ)。24人全員は小学校を卒業していない為に、読み書きも満足に出来ず、公用語のフィリピノ語・英語も理解できない為に、捜査官はマギンダナオ語との通訳を介して取調べを行っている。CVOに志願すると、国家警察による訓練やセミナーを受けた後参加することになっているが、実際はライフル銃を扱え、アンパトゥアン一族に忠誠を誓えばCVOになれる。
小学校4年生で中退した17歳の男性は、15歳でCVOに入った。MILFとの戦闘も経験した。既に子どもも数人いて、養っていくにはCVOに入るしかなかった。ライフル銃を持つ少年兵の姿が、そこにはあった。
教育水準の低さなどによる貧困という厳しい現実がある。
-以上 連日の日刊マニラ新聞より-
ミンダナオの紛争は、イスラム教徒とキリスト教徒の対立とよく言われるが、複雑なことを簡単に言ったこと。ミンダナオ島には元々住んでいた人たちがいて、そこに他の島から移住してきて、対立が生まれる。それが今では、イスラム同士の対立になってきている。
ミンダナオ島の紛争が無くなることを祈りつつ、この記事をアップした。
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