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2011.02.09

『世界現代史6 東南アジア現代史Ⅱフィリピン・マレーシア・シンガポール』

世界現代史6 東南アジア現代史Ⅱ フィリピン・マレーシア・シンガポール

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池端雪浦・生田滋 著
山川出版
1992年

目次

フィリピン
フィリピン-自然と文化
Ⅰ基層社会の探究
Ⅱ植民地社会の形成
Ⅲ商品作物と民族のめざめ
Ⅳフィリピン革命
Ⅴアメリカの支配
Ⅵ激動期の社会
Ⅶ日本軍政
Ⅷ共和国の試練

マレーシア・シンガポール
Ⅰマレー諸国の形成
Ⅱイギリスのマレーシア進出
Ⅲイギリスとマラヤ
Ⅳマラヤ住民の政治的覚醒
Ⅴマレーシア連邦
Ⅵ現状と展望

付録

フィリピンを池端雪浦、マレーシア・シンガポールを生田滋が執筆した。
このブログはフィリピン関係なので、フィリピンについての感想を書くことにする。
まえがきで「フィリピン民族主義の真の担い手である民衆に叙述の中心をおき、その解放を阻む歴史的諸条件の解明に努めた。」とあるように、今まで読んだフィリピンの通史よりも、分かりやすく書かれてある。
貧困にあえぐ民衆の切実な訴えが、自分の利権を守りたい大地主と指導権を取りたい政治家によって、幾度となく阻まれる。

そして、日本とフィリピンとの関わりも考えさせられる。
アメリカ体制期に入る前のフィリピン革命、日本軍政期前の労農運動の展開の時に、フィリピン人は日本に期待をしていた。2回とも「期待」だけで終わったが、その後は日本軍政期になり、残虐な支配に入る。
フィリピンが日本に対して、日本がフィリピンに対して抱いている思いには、大きな開きがあるように思われる。何がそうさせるのだろうか。この開きは今は埋まっているのだろうか。

本書の初版が1977年で、それまで東南アジアについて、まとまって書かれた本が無かった。東南アジア研究はこれからだ。

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