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2018年5月

2018.05.30

『政治と秋刀魚』

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ジェラルド・カーティス『政治と秋刀魚』日経BP社、2008年

古本屋さんを覗いていたらこの本のタイトルに惹かれて読んでみたいと思い購入しました。
著者は政治学者で日本の政治を研究して、受賞歴の中に旭日重光章があります。
始めて日本に来たのが前回の東京オリンピックの年で、以来アメリカと日本の往復をしています。...
日本人女性と結婚して二人の娘がいます。
本書は政治から日本社会を見ていて、分かりやすく書いてあるので、政治が苦手な私でも一気に読み進められました。
お子さんが小学生の頃、夏休みは毎年群馬県山間部の月夜野町で過ごし、現地の小学校が夏休みに入るまでの5~6週間は体験留学をしていました。その時の事を書いた箇所を引用します。

「娘の北小学校での体験の中から、読者の皆さんにぜひ知ってもらいたいことが一つある。なぜなら、これは日本人の価値観に関する非常に重要なことだからだ。娘たちが北小で一番驚いたことは、生徒が四つん這いになって床を磨いたりして、学校の清掃を手伝う事だった。これは日本では当たり前のことであるが、アメリカではそうではない。ある日、娘たちが帰ってきて、その日の役割がトイレの掃除だったと報告した。長靴を履いて手袋をはめて掃除をしたという。
 そういうことをさせられたら、嫌がるだろうと思う人はいるかもしれないが、決してそうではなかった。どちらかといえば、誇りをもって話してくれた。その事が今でも強く印象に残っている。そういうことをすることによって、娘たちはお世話になっている学校に対する責任を感じさせられたのではないかと思う。自分たちの学校を清掃する子どもは、学校内清掃が他の人の仕事だと思う子どもよりも遥かに学校自体をきれいにしょうという思いや、学校に対する尊敬の念が強いだろうと思う。このように学校を清掃するという行為は子供たちに、責任感や清潔感、そしてコミュニティのものを大切にすることなどを自然と教え込んでいるのである。」

著者は、日本の政治改革は外国の仕組みをそのまま持ってくるのではなくて、日本的なやり方にアレンジしなければうまくいかないと言う。もっと日本を知りたいと思いました。

「噺家ものがたり」

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村瀬健『噺家ものがたり』メディアワークス文庫、2018年。

就活をしている大学生が、会社の面接日に寝坊して、慌ててタクシーに乗ったところから話が始まります。
そのタクシーの中で流れていた落語を聞いて、大学を中退し、住まいを引き払い、ケータイを解約して、その落語家のもとに弟子入りをしました。
落語家の生活ですもの、笑いあり涙あり。...
笑いと涙と一緒になった時はワタクシのココロは戸惑います。
覚悟が決まるとキモが据わり、オーラとして出るんだね。

選挙戦が始まったころの新弟子と師匠の会話。

新弟子「投票に行くんですか」
師匠 「行くよ」
新弟子「どこに入れるんですか」
師匠「箱」

私も今後、どこに投票するか聞かれたら「箱」って答えよう。

ワタクシのこれからの人生は猫のように自由に生きて、こう言われるようになるのです。
「ばあさん、正気かい?」
おあとがよろしいようで。

2018.05.27

『人生を闘い抜く』

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山本由紀著/大嶋利佳構成『人生を闘い抜く』雙志館、2018年

  Fb上で大嶋さんが本を出版しますと本書の写真をアップしたのを見て、山本さんのお顔に心が揺さぶられましたので、購入をしました。
届いた本を見て泣けてきました。山本さんのお顔は私の心を穏やかに揺さぶります。

  山本さんは27歳で極真空手に入門し、結婚、子育てをしながら世界大会で優勝しました。  女性であること、遅くになって空手を始めたこと、子育てをしながら空手をしていること、世界大会では大けがをしたこと。。。さまざまな困難を乗り越えてきました。
  山本さんは暗闇の中から光を見出す人なんですね。
心が傷ついている人に寄り添う人なんですね。
  読んでいると二人の人の言葉が思い浮かんできました。
  一人はチベット仏教のダライ・ラマで、講演の最後は質問を受け付けているのですが、自分で探し求めることに関しては「I don`t know」を連発しています。
もう一人は娘がミュージカルの稽古をしていた時の先生で、「食いついていくのも才能」とおっしゃっていました。

  「生まれてきた意味なんて、ありませんから」の一言は目からうろこでした。
生まれてきた意味と人生の意味とは違うんですね。私は一緒にしていたから分からなかったんです。
自分の人生の意味を探ろうと思ったら、過去を振り返るといいのですね。
  私はカトリックで、洗礼を受けるときに洗礼名を決めます。家族のサポートばかりをしてきたので、お手伝いさんで聖人のノドブルガの名前を頂きましたが、それは何かの手段だと思いました。
これからは「人生の意味」を探っていきたいと思います。

  この本は、現実をしっかり受け止めて人生行路を歩んでいる人の応援歌ですね。
厳しい現実を目の前にして、うずくまっている人に指針を与えてくれます。「行けー、突き進めー」とげきを飛ばしませんから大丈夫ですよ。
今月発売になったばかりの本書を読み終え、適当な個所を開いて顔に近づけ、匂いをクンクンしながら、人生って愛おしいものだと思い、余韻に浸っていました。

2018.05.21

「在日」を生きる

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金時鐘、佐高信『「在日」を生きる ある詩人の闘争史』集英社新書、2018年。

『ザ・プロフェショナル仕事の流儀』で取り上げられていた一万円選書の『いわた書店』に行ったときに、レジの横に有って一番気になる本でした。書店には店主が選んだ本が置いてあります。お店はこじんまりとしていて、新書や文庫を中心に置いてある、庶民的な書店でした。

この本は、詩人の金時鐘氏と評論家の佐高信氏の対談です。...

「第1章 戦前回帰の起点」では、「戦争に負けて良かった」から本書は始まります。この言葉に金氏は複雑な思いがあります。日本統治下になった釜山で生まれた金氏は朝鮮語を使うのが禁じられていましたから、日本語で育ち、戦中は皇国少年でした。終戦を告げる玉音放送に泣いたと言っていました。戦争が終わってから朝鮮半島は日本の植民地だったと分かった。
戦後、済州島4・3事件が有って日本に住むようになった。日本に来て本を出版することになったけど、日本語で書いたら朝鮮総連から目を付けられて、10年間仕事が無かった。北朝鮮に帰る船が出たのですが、金正日のしている事を知って止めた。北朝鮮に帰った人は、資本主義にドッポリ漬かっているという理由で、変な苦労があった。金氏が帰ったら生きていなかったかもしれない。日本が戦争に勝っていたら、あの状態が続いただろうから、負けて良かったとは思うけど、感情は複雑。

金氏は、自分の目でものを見て、自分の頭で考えられなくしているものに嫌悪感を抱いています。自分の目や頭の背景には、それまでの経験がある。自分との格闘もしている。

金氏、イイわ。

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