『政治と秋刀魚』
ジェラルド・カーティス『政治と秋刀魚』日経BP社、2008年
古本屋さんを覗いていたらこの本のタイトルに惹かれて読んでみたいと思い購入しました。
著者は政治学者で日本の政治を研究して、受賞歴の中に旭日重光章があります。
始めて日本に来たのが前回の東京オリンピックの年で、以来アメリカと日本の往復をしています。...
日本人女性と結婚して二人の娘がいます。
本書は政治から日本社会を見ていて、分かりやすく書いてあるので、政治が苦手な私でも一気に読み進められました。
お子さんが小学生の頃、夏休みは毎年群馬県山間部の月夜野町で過ごし、現地の小学校が夏休みに入るまでの5~6週間は体験留学をしていました。その時の事を書いた箇所を引用します。
「娘の北小学校での体験の中から、読者の皆さんにぜひ知ってもらいたいことが一つある。なぜなら、これは日本人の価値観に関する非常に重要なことだからだ。娘たちが北小で一番驚いたことは、生徒が四つん這いになって床を磨いたりして、学校の清掃を手伝う事だった。これは日本では当たり前のことであるが、アメリカではそうではない。ある日、娘たちが帰ってきて、その日の役割がトイレの掃除だったと報告した。長靴を履いて手袋をはめて掃除をしたという。
そういうことをさせられたら、嫌がるだろうと思う人はいるかもしれないが、決してそうではなかった。どちらかといえば、誇りをもって話してくれた。その事が今でも強く印象に残っている。そういうことをすることによって、娘たちはお世話になっている学校に対する責任を感じさせられたのではないかと思う。自分たちの学校を清掃する子どもは、学校内清掃が他の人の仕事だと思う子どもよりも遥かに学校自体をきれいにしょうという思いや、学校に対する尊敬の念が強いだろうと思う。このように学校を清掃するという行為は子供たちに、責任感や清潔感、そしてコミュニティのものを大切にすることなどを自然と教え込んでいるのである。」
著者は、日本の政治改革は外国の仕組みをそのまま持ってくるのではなくて、日本的なやり方にアレンジしなければうまくいかないと言う。もっと日本を知りたいと思いました。
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