恩田陸『蜜蜂と遠雷』
恩田陸『蜜蜂と遠雷』幻冬舎、2016年
ピアノコンクールを舞台としたこの小説は、4人の若きコンテスタントが登場します。
私の一押しは、蜜蜂王子だな。
映画ではどなたがピアノの担当になるのか出てるけど、かなりしばらくクラシックは聴いていないから、誰がどんな演奏をするのか分かりません。
(かなりしばらくって、40年とかね)
知らない人の名前ばかり。
Youtubeに、この小説に出てくる曲がアップされていましたが、蜜蜂王子が演奏した「ずいずいずっころばし」をルンバにアレンジしている曲は無かったな。
「ルンバ」で検索したら、掃除機のルンバばかりの中に「コーヒールンバ」がいくつか。。。聞きたかったのに。。。
聞いている人の感想を読んでいると、曲が流れてくるのを感じます。
身構えなく、アナリーゼした様子も無く、蜜蜂王子の音楽は透明感があるように思います。
だから、聞いている人の心の奥深くにある綿毛のような所に触れて、共感や反発という反応を呼び起こすのです。
一次予選、二次予選を通過し、三次予選。
やっぱり蜜蜂王子の演奏はいいねぇ~。
自然の猛威と驚異、美しさをよく知っていて、対話し戯れる。
この世の中は音楽であふれています。
風が吹き、雨が降り、打ち寄せては帰る波、人々の話し声。。。
音楽療法の先生がおっしゃっていた言葉を思い出します。
人は生まれたときから旋律に触れている。
言葉を発する前から旋律を発している。
「だ だ だ」とか「あ あ あ」で。
蜜蜂王子が師匠と交わした約束「音楽を外に連れ出す」って、どういうことなのかしら?
師匠と一緒に、またコンテスト期間中も模索しています。
本選でオーケストラとの共演の時に、何かをつかみました。
この小説を読んでいると、コンサートホールにいて曲を聴いている感じがします。
曲を聴いていると言うよりも、その曲のイメージを思い浮かべて、それに曲がついてくるような。。。
蜜蜂王子以外の3人のコンテスタントは、彼の演奏に触発されています。
それぞれが自分の演奏を模索していきます。
そして、コンテスト期間中も成長し続けます。
日本で行われたピアノの国際コンクールで、蜜蜂王子は何位になったでしょうか?
それはこの本をお読みになってください。
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