ジャムーの研究開発
インドネシアの庶民に「家庭薬」として古くから親しまれてきたジャムー。痩身、腹痛、のどの痛み、滋養強壮など、期待する効果により調合して服用します。インドネシアには3万種以上の植物があり、約1,000種が薬草で、製薬として利用されているのは400種類。ブラジルに次ぐ豊富な資源です。
市販されているジャムー商品は、医薬品食品監督庁が原料を調べ、安全性を認定する「ジャムー・マーク」を取得していましたが、医療機関で利用されることはありませんでしたし、化学薬品を混ぜるなど品質が低い物も出回っていました。
インドネシア政府は、ジャムーの研究開発を推進しようと、中国の専門家を招いて2004年に、医薬食品監督庁とインドネシア科学院(LIPI)が共同で、初のセミナーを開催し、両国が合同で伝統薬を開発していうことで合意しました。特に、①伝統薬の広範な共同研究 ②国内に流通する偽造品に関する情報交換 ③インドネシアの薬草を利用した漢方薬の開発の3項目を挙げました。セミナーで中国側は、漢方薬の薬草の農場、製造、流通、研究状況などを紹介し、インドネシアの研究者や業者の注目を集めました。
翌年ジョグジャ王宮でジャムー展を開催し、2007年には政府がジャムーを「伝統薬」と宣言。国内総売り上げが7兆ルピアになりました。2008年に医薬品食品監督庁が違法ジャムーを回収、2009年の国内総売り上げは8兆5千億ルピアに達しました。
政府は2007年に他国にコピーされないように「ジャムーはインドネシア独自の伝統薬」と宣言。2009年バンコックで開催された「ASEAN伝統医療国際会議」に代表団を派遣し、各国の教育機関や研究所、実業家との協力を強め、ジャムー産業をインドネシア独自の産業として発展させることを表明しました。
世界的な健康ブームでジャムーは注目され始め、エステ用品などとして、中国、韓国、インド、ヨーロッパなどに輸出されています。外国の製剤会社がインドネシア産の薬草を使用した健康食品などの特許権を取得したり、中国の大手漢方薬会社が進出しているので、保険証広報局は国内のジャムー会社の保護を優先する姿勢を示しています。

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